日本より海外の方が美容師の社会的地位が高く、待遇も良いケースがあります。
「日本人は器用」や「日本の接客は素晴らしい」といった評価もあることから、日本人美容師の需要もあります。
しかし、海外で働きたいと考えていても、どのようなプロセスを経て渡航し就労するのかが分からない人もいるでしょう。
この記事では、海外に長期滞在しながら就労できるワーキングホリデー制度について分かりやすく解説します。
ワーキングホリデー制度とは?
通常のビザ(観光ビザ)や学生ビザと、ワーキングホリデービザとの違いは、通常のビザより有効期間が長く、学生ビザと比べて就労の制限が緩和されていることです。
通常のビザは有効期限が発給翌日から3カ月、学生ビザは学校に通う期間によって有効期間が変わります。
一方、ワーキングホリデーは対象国によって異なりますが、1年間のみや2年目・3年目の延長が可能など、通常のビザより有効期限が長いことが特徴です。
通常のビザでは就労は認められておらず、学生ビザも国によっては原則就労不可だったり、週20時間までに就労が制限されていたりします。
通常のビザより有効期間が長く、学生ビザのような就労の時間制限はないワーキングホリデービザですが、国によっては同じ雇用主の下での雇用期間に制限があるので注意しましょう。
オーストラリアとデンマーク、ノルウェーでは同じ雇用主の下での雇用期間にかかる制限が6カ月、カナダでは12ヶ月です。
上記以外の国では雇用期間の制限はありません。
1980(昭和55)年に対象国がオーストラリアの1カ国からスタートしたワーキングホリデー制度は、2023(令和5)年時点で29の国と地域に拡大しています。
詳しくは下記の外務省のホームページをご参照ください。
外務省 「ワーキング・ホリデー制度」
ワーキングホリデービザの発給要件
ワーキングホリデービザの発給要件は、以下のとおりです。
- 申請時の年齢が18~30歳以下(オーストラリア・カナダ・韓国・アイルランドでは18~25歳以下、アイスランドは18~26歳以下)
- 有効な旅券と帰りの切符、または購入資金
- 場合によっては健康診断を受け、問題がないこと
- 滞在当初の期間に生活できる資金 また、配偶者や子どもが同伴しないことも要件になっています。
ワーキングホリデーにかかる費用
渡航先の国や地域、生活するエリアによって生活費は異なりますが、最低でも半年間は働かなくても生活できる資金を用意しましょう。
一部の国では不要ですが、十分な資金を有していることを証明しなければワーキングホリデービザの発給要件を満たせないケースもあります。
美容師がワーキングホリデーに取り組む4つのメリット
美容師がワーキングホリデービザを取得して海外で働くメリットとして、下記の4つが挙げられます。
- 高い社会的地位
- 整った労働環境
- 高い収入
- ビジネスビザや永住権を取得できる可能性
それぞれのメリットについての解説は、以下のとおりです。
日本より美容師の社会的地位が高い
日本では美容師を含むサービス業全般の社会的地位が高いとはいえませんが、海外、特に先進国では社会的地位が高い傾向にあります。
もちろん、スキルや知識、海外で働くなら語学力があることが前提です。
「お客様は神様」ではありませんが、日本では従業員よりお客様の方が強い立場にあります。
しかし、海外において技術のある美容師はプロフェッショナルとして尊重してもらえるため、働く上での魅力といえるでしょう。
日本より高い収入を得られる可能性
コロナ禍以降は円安が続いていることもあり、日本より海外で働く方が高収入を得られる可能性があります。
また、国によってはチップを支払う風習があるため、美容師としての収入にチップも加わり収入が多くなるでしょう。
日本より整った労働環境
労働環境の悪さが指摘される日本の美容業界ですが、海外ではサロンを取り巻く労働環境が整っているため、心身の負担を抑えてサロンワークに当たれます。
実際にお客様から聞いた話ですが、アメリカに留学中にカットとカラーの予約をしてサロンを訪れた際、途中で待たされカットが終わった時点で閉店時間になり、カラーはしてもらえず退店させられたそうです。
日本では営業時間を過ぎても施術を続けるケースが大半ですが、雇用主に労働者を大切にする意識があるため就業時間を守る場合が多いといわれています。
ビジネスビザや永住権を取得できる可能性
ワーキングホリデービザから就労ビザや永住権を取得できる可能性があります。 ワーキングホリデービザから、雇用主にビザスポンサー(保証人)になってもらい就労ビザを取得し、一定期間働きポイントを獲得することで永住権の申請が可能です。 永住権の審査にはポイント制度を採用している国が多く、合格ラインや難易度は国によって異なります。
ワーキングホリデーに取り組む準備
ワーキングホリデーに取り組むには、下記の準備が必要です。 ・語学力 ・スキル ・資金 それぞれについて、以下に解説します。
語学力
その国の言語を習得する必要があります。 日常会話はもちろん、美容師として働くならヘアスタイルやデザイン、カラーに関する言葉も勉強しておく必要があるでしょう。
スキルとケミカル知識
人材を育てるのではなく、即戦力を求めているため、海外で美容師として就労したいなら高い技術力が必要です。
髪質は日本人とは異なり、日本国内で認可されているものより強力な薬剤を取り扱うことも多いので、海外就労のためのスキルと知識の修得が求められます。
資金
渡航先の国や住む地域、賃貸物件のセキュリティなどで生活費は異なりますが、最低でも半年間は働かなくても生活できるだけの資金が必要であり、1カ月15万円と想定するなら90万円、1カ月20万円想定であれば120万円になります。
また、せっかく海外に長期滞在するなら観光も楽しみたいものです。
そうなると、より多くの資金が必要になり、用意するのは簡単ではありません。
美容師の本業だけでは時間がかかるので、短期間で資金を用意するなら副業への取り組みが推奨されます。
スキルアップと収入の両方を得る手段として挙げられるのが「スポットワーク」です。
サロンに勤めつつ、他のサロンに単発の派遣のような形でサロンワークに参加する働き方であり、収入を得ながらスポットワーク先のサロンのスキルや知識を吸収できます。
ワーキングホリデーに必要なのは「語学力」「スキル」「資金」
スキルは美容師として働いていれば身につきますが、語学力に関しては語学教室に通うか、オンラインレッスンを受ける必要があります。
語学力を身につけるにも費用がかかり、並行して最低でも半年間は生活できる資金を貯めなければいけません。
ワーキングホリデービザを取得して海外で就労するためには多くの資金が必要になり、スキルアップを図りながら収入を得る手段として「スポットワーク」が推奨されます。
ワーキングホリデーで海外就労を目指す際には、無料で利用できる美容師とサロンのマッチングサイト「びすけっとリンク」への取り組みも検討してみてはいかがでしょうか。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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