美容師の働き方も多様化しており、独立やフリーランスだけではなく、派遣やダブルワークなども普及しています。
そこで気になるのが、正社員と派遣の収入や働き方の違いです。
この記事では正社員と派遣を取り上げ、雇用形態による美容師の働き方や収入の違い、メリットやデメリットについて解説します。
正社員と派遣の美容師の違い
正社員と派遣の美容師の違いは下記の3つです。
- 雇用主
- 勤務先を決めるのは派遣会社
- 契約期間
それぞれの違いについて、以下に解説します。
雇用主が異なる
正社員であれば雇用主はサロンオーナーですが、派遣の場合は派遣会社が雇用主です。
派遣契約では給与体系が時給制になり、派遣会社とサロンオーナーの間で時給が取り決められます。
3つの派遣サイトの求人情報を調べたところ、美容師の時給は1,200~1,800円が相場でした。
アシスタントでは1,200円前後、スタイリストになると1,500~1,800円に設定されている傾向にあります。
勤務先を決めるのは派遣会社
正社員であれば、勤務先を選ぶのは美容師自身です。
しかし、ある程度の希望は考慮されますが、派遣の場合は勤務先を決めるのは派遣会社になります。
契約期間がある
派遣には契約期間があり、勤め続けたいサロンであったとしても契約期間が終われば、違うサロンに派遣されます。
サロン側から契約延長を希望され長期間勤めるケースもありますが、契約期間のない正社員との大きな違いとして挙げられるでしょう。
派遣美容師として働くメリットとデメリット
正社員と比較し、派遣の美容師として働くメリットやデメリットを以下に解説します。
派遣美容師として働くメリット
派遣の美容師として働くメリットは2つあり、1つは収入が安定し、場合によっては収入アップが見込めることです。
厚生労働省が公開する「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、美容師を含む生活関連サービス業の平均賃金は27万1,600円です。
派遣で働く場合の時給を1,500円とすると、一日8時間労働で月22日勤務した場合の収入は26万4,000円になります。
スタイリストは基本給+歩合や完全歩合制の給与体系を採用するサロンが多く、売上によって収入が変動します。
時給制の派遣は売上による収入の変動がなく安定している上、正社員では付かない残業代が支給されるため、正社員より収入が高くなる可能性もあるでしょう。
2つ目のメリットは、時間外の労働を強要されないことです。
正社員であれば、営業時間外のミーティングや後輩の指導など、給与が発生しない業務があります。
派遣は給与の発生しない時間外労働を拒否でき、場合によっては派遣会社に間に入ってもらい抗議できるのでサービス残業を回避できるでしょう。
サービス残業を回避できるので、プライベートの時間を確保しやすいメリットがあります。
参照元:厚生労働省 「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
派遣美容師として働くデメリット
派遣の美容師として働くデメリットとして挙げられるのが、下記の3つです。
- 役職が付きにくい
- アシスタントのサポートを受けにくい
- 売上が反映されない
派遣には契約期間があるため、店長やディレクターなどの役職がつきにくくなります。
サロン次第ではありますが、派遣で役職がつく可能性は低いといえるでしょう。
また、営業時間外の練習の参加や後輩の指導に携わる必要がないことはメリットですが、アシスタントのサポートを受けにくくなるデメリットも抱えています。
故意な嫌がらせではなく、同じくサポートを必要としている指導を仰ぐスタイリストと指導に携わらないスタイリストがいれば、当然アシスタントは前者につきます。
時給制で安定し、時間外労働にも残業代が支給されますが、売上次第では歩合制の場合より収入が低くなる可能性もあるでしょう。
スキルや接客力が高く、多くの固定客を掴めるスタイリストにとっては収入が低くなるデメリットもあります。
派遣以外の新しい働き方
正社員と派遣を組み合わせたような働き方として、「スポットワーク」の併用も普及しつつあります。
スポットワークは単発の派遣のように、サロンが指定する日時にサロンワークに参加する新しい働き方です。
単発なので定休日や公休日を利用して、正社員としてサロンに勤めながら取り組めます。
他のサロンの技術や知識を吸収する機会にもなるので、収入を得ながらスキルアップも図れるメリットがあります。
注意点としては、勤めるサロンオーナーに話を通しておかなければトラブルに発展するおそれがあることと、休日を利用するため体力面と精神面に大きな負担がかかることです。
派遣美容師は収入が安定し、プライベートの時間を確保しやすい
正社員の美容師は売上によって収入が左右されますが、派遣は時給制なので収入が安定し営業時間外は拘束されないため、プライベートの時間を確保しやすくなります。
役職がつきにくいなどのデメリットもありますが、派遣美容師として働くことで収入面の不安定さや長い労働時間といった美容業界が抱える課題を解決できる可能性があるでしょう。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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