美容室の施設数は26万軒を超え右肩上がりに増え続けていますが、日本の人口は減少傾向にあります。
少ない牌を取り合い、利益が分散しているのが現状です。
サロン経営を成長・維持するための戦略として集客力の向上やキャンペーンの実施が挙げられますが、効果が見込まれる有用な戦略は「客単価アップ」です。
この記事では美容室経営者に向け、利益の向上につながる客単価アップの方法や、併せて押えなければならない顧客満足度との両立について解説します。
集客力アップより客単価アップの方が経営戦略として効果的
集客力アップより客単価アップの方が経営戦略として効果的な理由に、コスト面と確実性が挙げられます。
集客に広告媒体を用いるとコストがかかり、SNSなどで独自に発信すると効果は見通しが立ちません。
一方、客単価アップであれば顧客1人当たり数百円程度であったとしても、月単位では大きな利益アップにつながります。
確実に売上が増え、低コストで実施できるため、客単価アップは経営戦略として有用です。
物価高騰に対応するためにも客単価アップが有効
水道光熱費や材料費など、さまざまな分野で値上がりが続いていますが、物価高騰に対応するうえでも客単価アップは有効です。
物価高騰の対策として、サロンメニューの値上げも選択肢の一つです。
しかし、物価高騰に直面しているのは顧客も同じであり、サロンメニューの値上げが失客につながるおそれもあります。
そこでサロンメニューの値上げを回避しつつ物価高騰に対応するために、客単価アップが有効です。
美容業界は経費に占める材料費の割合は低く、技術料の占める割合が高いので、客単価アップを図るだけで十分に物価高騰に対応できます。
顧客満足度を無視すると経営に大ダメージ
客単価アップは物価高騰の対策として有用ですが、顧客満足度を無視すると失客の可能性が高くなり、経営に大ダメージを受けます。
顧客満足度を無視した客単価アップの実施例としては、望まないメニューの強要やクオリティに対する期待外れが挙げられます。
一時的に客単価は上がるかもしれませんが、失客すれば長期的な利益減少は避けられません。
顧客満足度と両立した客単価アップの方法5選
顧客満足度の向上・維持と両立した客単価アップの方法として、下記の5つが挙げられます。
- 美容室の弱点の克服
- 美容室の強みの強化
- 提案力の強化
- カウンセリングの強化
- 施術のスピードアップ
5つの方法についての解説は、以下のとおりです。
美容室の弱点を克服
ホットペッパービューティーが公開するデータによると、サロンメニューの平均利用比率はカットが96.8%、カラー52.2%、トリートメント33.8%、縮毛矯正14.8%、ヘッドスパ11.4%、パーマ8.6%となっています。
上記の利用比率より低い割合のメニューは、美容室の弱点と言えます。
弱点となっている技術の改善を図るだけで、大きな客単価アップにつながるでしょう。
参照データ:ホットペッパービューティー データブック
美容室の強みをさらに強化
平均値に対して高い利用比率のメニューは美容室の強みです。
多くの顧客から支持を得られているメニューの強化を図り、高単価メニューの開発やバリエーションを増やすことで客単価アップにつながります。
カラー比率が高く、美容室の強みである場合は、セクションカラーでデザイン性を強化したり、重ね塗りやトナーで彩度や色持ちの向上を図ったりするなど、チャレンジしやすいメニューを開発・提供することにより客単価アップが可能です。
提案力の強化
四季やライフスタイルに配慮した年間を通じた提案に注力することで、来店周期の短縮やプラスメニューの提供につながり、客単価アップを図れます。
また、マンネリ化は客離れの原因にもなるので、顧客の定着率の維持・向上にも提案力の強化は有用です。
カウンセリング力の強化
提案するだけではなく、カウンセリングや接客中の会話から顧客の髪に対する悩みを汲み取る技術も重要です。
手入れの仕方や生活環境などから髪に対する悩みを推測し、改善に向けた提案を客単価アップにつなげましょう。
施術のスピードアップ
プラスメニューを提案して客単価アップを図る場合には、施術スピードが重要です。
施術内容が増えるほど施術時間も長くなり、遅ければ回転率が下がります。
単価は上がっても対応できる人数が少なくなり、結果として利益が下がりかねません。
また、長い滞在時間は顧客の負担になるので、プラスメニューの継続につながらなかったり、失客につながったりするおそれもあります。
回転率を維持しつつ、顧客の負担を軽減するため、施術のスピードアップを図りましょう。
スキルアップと人材確保に取り組む
客単価アップを図るためにはスタイルを創り上げる技術力や提案力、施術スピードの向上など、スキルアップに取り組む必要があります。
また、美容業界全体が厳しい状況に陥っている人手不足に直面している美容室は、人材確保に向けた取り組みも必要になるでしょう。
求職活動はオンライン上の媒体が主戦場になっており、求人活動も対応は避けられません。
スポットバイトや派遣契約の導入、人手不足の解決策として注目されている「休眠美容師」など、新しい働き方や人材を取り入れる経営手腕がサロン経営者に求められています。
客単価アップにはスキルと顧客満足度の向上が重要
顧客満足度を無視した客単価アップは失客のおそれがあるため、下記の5つのポイントを押さえることが重要です。
・美容室の弱点の克服
・美容室の強みの強化
・提案力の強化
・カウンセリングの強化
・施術のスピードアップ
スキルや顧客満足度の向上を図りつつ、客単価アップに取り組むことで美容室経営の成長・維持につながります。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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