和食の料理人が包丁を大切に扱うように、美容師も商売道具であるハサミを大切に扱います。
モノによっては包丁以上に高価な美容師用のハサミですが、一体何本必要なのでしょうか?
この記事では、美容師の命ともいえるハサミは何本必要なのか、それぞれのハサミの特徴や切れ味を保つお手入れ方法を紹介します。
最低でもハサミは6本必要
美容師は最低でも6本のハサミが必要です。
- ドライカット用
- ウェットカット用
- セニング
上記の3種類のハサミが必要になり、それぞれを研ぎに出した時のスペアも加えると6本になります。
研ぎに出すタイミングは使用頻度によりますが、早ければ2~3カ月、遅くても6カ月ぐらいでハサミのメーカーに依頼します。
切れ味が落ちたハサミを使用すると、切った髪の断面の組織が破壊されパサつきや枝毛などの原因になるため定期的なメンテナンスは必須です。
3種類のハサミの特徴や用途を以下に解説します。
ウェットカット用
髪を濡らした状態で行うベースカットの際に用いるハサミです。
髪が逃げないように真っ直ぐな刃が採用されている場合が多く、刃付けも鋭利になっています。
ウェットカットはブラントかチョップでカットラインを作るため、髪が逃げにくい鋭利な刃付けが適しています。
しかし、ドライカットではスライドやストロークで質感を調節するので、鋭利な刃付けではキューティクルを剥がしてしまい適しません。
ドライカット用
ベースカットの後に乾かしてドライカットを施します。
ドライカット用のハサミは刃付けが緩やかになっているタイプが多く、スライドカットやストロークカットの際にキューティクルを剥がしにくくなっています。
オーバル型やハマグリ型のように丸みを帯びた刃が特徴です。
髪が濡れた状態で使用すると、特に「押し切り」した場合に毛が逃げやすくカットラインが乱れます。
セニング
すきバサミとも呼ばれるセニングは、毛量調節に使用します。
セニングには2種類あり、1つは「片すき」です。
静刃は真っ直ぐで、動刃だけが櫛のような形状になっています。
もう1つのタイプは「両すき」と呼ばれ、静刃も動刃も櫛状になっているセニングです。
カット方法にもよりますが、「片すき」のセニングはすき率が高い傾向にあり、「両すき」のセニングはすき率が低く、閉じた際の髪の抜けが良くなっています。
研ぎに出した時用のスペア
上記で説明したように、ハサミにメンテナンスは必須です。
メーカーに研ぎに出すと、短くて1週間、長ければ3週間程度かかります。
そのため、研ぎに出している間に使うスペアのハサミが必要になりますが、メインほど高価でなくても問題ありません。
練習用のハサミで2~3万円、スタイリストデビューするなら5~8万円、スタイリストのハサミの相場は10万円前後で、高いものは20万円ほどしますが、値段の差は素材と機巧です 開閉がスムーズになるようにベアリングを挟んであったり、磁石が組み込まれていたりする特殊な機巧のハサミは値段が高くなります。
また、レアメタルを用いた合金から作られたハサミも高価になり、強度が高いため切れ味が落ちにくいことが特徴です。
安価なハサミは強度面で劣りますが、使用期間が短ければ高価なハサミとの切れ味の差はそれほど開きません。
メインのハサミを研ぎに出す間の1~3週間であれば、スペアのハサミの切れ味はそれほど落ちないのでメインより安価なハサミでもカットのクオリティに支障は出にくくなります。
一日の終わりにセーム革でハサミを拭く
セーム革とは鹿の皮をなめしたものです。
きめ細かく柔らかいため、貴金属や眼鏡を拭く際に用いられますが、美容師が使うハサミの手入れにも適した素材です。
ハサミよりはるかに柔らかい髪の毛とはいえ、一日に何百回も切ると刃が摩耗します。
刃が欠けるのではなく、立っていた刃が少しずつ寝るわけですが、そのまま使い続けると切れ味は急激に落ちます。
刃が丸くなるのを防ぐために営業の終わりにハサミの裏側からセーム革で拭き、寝た刃を起こして切れ味を保ちましょう。
切った髪や水分以外にも薬剤やスタイリング剤、トリートメントなどがハサミには付着しており、そのままにすると劣化の原因になります。
刃を起こす以外にも劣化の原因になる物質を除去できるので、ハサミの切れ味を保ちつつ寿命を延ばせる効果があります。
購入費用の問題はスポットバイトで解決
スタイリストはハサミを最低でも6本用意する必要があり、1本8万円であれば合計48万円になります。
スタイリストデビュー前や直後の給料は高くないため、大きな金銭的負担です。
一般企業でも認めるケースが増えるほど副業が普及しており、美容師に適した副業に取り組むことでハサミの購入費用を捻出できます。
副業に取り組むなら収入以外にもメリットがある「スポットバイト」が有用です。
スポットバイトを導入しているサロンが指定する日時に、ヘルプに行くような形でサロンワークに参加します。
単発の依頼なので休みを利用すればサロンに勤めながら取り組むことができ、ほかのサロンの技術や知識を吸収できるメリットもあります。
スタイリストにとって必要不可欠な6本のハサミを揃えよう
ハサミは切った後の髪のダメージを左右し、顧客自身がスタイリングする際の再現性にも影響します。
切れ味を維持するには定期的なメンテナンスが必要になり、メーカーに研ぎに出す間のスペアを含めると、6本のハサミを用意しなければいけません。
必要なハサミを揃え、再現性の高いスタイルをお客様に提供できるようにしましょう。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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