「思っていた色と違う」
「パーマがすぐに落ちた」
このような「お直し」に精神力を削られた経験を持つ美容師は少なくないでしょう。
しかし、本来お直しは怖れるものではなくチャンスです。
この記事では、お直しを怖れる必要はない理由や、逆にリピートにつなげる5つの方法について解説します。
お直しにも来ないことが一番怖い!
顧客がお直しに来店するということは、まだ技術に対して期待が残っている証です。
なぜならお直しの結果、さらに希望するスタイルからかけ離れてしまう可能性もあり、技術に期待されていない場合は、返金を求めるかそのまま失客になるからです。
返金も求めずそのまま失客するケースは精神的な負担はありませんが、悪い口コミが広がるおそれがあります。
ネット社会では良くも悪くも口コミが早く、広範囲に広まります。
悪い口コミはサロンの集客力の低下につながるうえ、ネット上の情報は消えずに残るので、その影響はサロン経営に大きなダメージを与えるでしょう。
一人の失客で何人もの顧客候補を失う可能性があるため、お直しは期待が残っている証であるとポジティブに捉えることが重要です。
お直しで来店していただいた際の5つのポイント
お直しで来店した顧客は、通常の接客以上に配慮しなければいけません。
お直しで来店する顧客側にも不安があり、負担を強いているので、それらに対する配慮がなければリピートの確率は低くなります。
以下の5つのポイントを押さえて、お直しから固定客化につなげましょう。
お直しで来店した際の「申し訳ない」を解消
「パーマが落ちたように感じるけど、スタイリングのせいかもしれない」や「担当した美容師の気分を害したらどうしよう」など、お直しで来店する顧客側も不安や申し訳ないといった感情を抱えています。
そのため、お直しで来店した際には、この不安感を解消することが先決です。
時間を割いてもらったことに対する感謝と謝罪を丁寧に、そして必要以上に暗い雰囲気にならないように伝えましょう。
原因と対処方法を丁寧に説明
顧客の不安感を解消した次は、原因の解明とその対処方法の説明です。
「パーマが落ちた」というお直しであれば、一度髪をウェット状態にしてウェーブの状態を調べましょう。
ここで注意しなければならないのは、顧客の技術力でスタイリングできるウェーブが形成されているかという点です。
美容師であれば、極端にいえばほとんどウェーブが残っていなくてもスタイリング技術で補えます。
しかし、スタイリング技術のない顧客の場合は、そのことを踏まえたうえでの施術が必要です。
スタイラーを使って丁寧にドライする場合と、強風で雑にドライする場合を例に挙げると、前者はウェーブが強く、後者はウェーブが弱く形成されます。
最初にこの点を踏まえた施術をすることがベストですが、お直しの際にはより慎重に顧客のスタイリング技術と施術内容をマッチさせなければいけません。
カラーの場合にはスタイリング技術は影響しませんが、顧客が生活する環境の光の種類が影響します。
特に暖色系のカラーリングは蛍光灯の下では彩度が低くなり、朝日や夕日、暖色灯の下では彩度が高くなります。
カウンセリングやカラー剤の選定のミス、ティントが抜けたことがお直しに至った原因なのか、それとも生活環境によるものなのかを見極めることが重要です。
施術時間への配慮
短期間に2度来店し時間を割いてもらっている分、施術時間には配慮しましょう。
お直しに要する時間を伝え、その時間内に完了させなければいけません。
特にパーマのお直しの場合は、全体的にかけ直すのか、部分的にかけるのかで施術時間が大きく変わります。
状態やスタイルによっては部分的にパーマをかけ直すだけで十分なケースもあるので、できる限り短時間、かつ適切な施術を選択しましょう。
ダメージへの配慮
カラーにしろパーマにしろ、薬剤を使えば髪はダメージを受けます。 特にお直しは1回目と2回目の期間が短いケースが多いので、ダメージに対する配慮が必要です。
中間処理や後処理を丁寧に施し、場合によってはトリートメントメニューをサービスすることも検討しましょう。
次回のスタイル提案でポジティブに閉める
スタイリング方法やケア方法を伝えながらお直しのクロージングに入りますが、そのときに大切になるのが次回のスタイル提案です。
上記の4つのポイントを押さえて技術に対する信頼回復に努めますが、スタイルを提案して次回の期待値を上げ、ポジティブな感情でお直しの来店を閉めましょう。
スキルと対応力の向上がお直しを未然に防ぐ
お直しの際には上記で紹介したポイントを押さえる必要がありますが、美容師と顧客、双方の負担を軽減するためにお直しを未然に防ぐことが重要です。
そのために取り組むべきなのがスキルと対応力の向上です。
狙った色やウェーブを表現するためのスキルを身につけ、カウンセリングから顧客の希望を正確に読み取ったり、触診から毛髪ダメージを推察したりする対応力を養わなければいけません。
普段のサロンワークでスキルアップに取り組んでいても、サロンの客層に偏りがある場合はスキルや対応力にも偏りが生じます。
そのようなケースに有用なのが「スポットワーク」です。
単発の派遣のように違う店舗のサロンワークに参加する「スポットワーク」は、新しい働き方として注目されています。
美容師側は副業や育児中にも取り入れられ、サロン側にはピンポイントでマンパワーを確保できるので人手不足解消と人件費削減のメリットがあります。
また美容師側のメリットとして、所属するサロンとは異なる客層や取り扱っていない薬剤への対応力が養える点も挙げられるでしょう。
スキルと幅広い対応力を身につける手段として有用であり、お直しを未然に防ぐことにつながります。
ただし、無用なトラブルを防ぐために、所属するサロンのオーナーには話を通しておきましょう。
スキルと対応力向上に取り組みつつ、お直しの際には5つのポイントを押さえる
顧客と美容師、双方のお直しによる負担を抑えるためにスキルアップや対応力の向上に取り組み、それでもお直しになった場合には、紹介した以下の5つのポイントを押さえましょう。
①お直しで来店した際の「申し訳ない」を解消
②原因と対処方法の説明
③施術時間への配慮
④髪のダメージへの配慮
⑤ポジティブに閉める
また、所属するサロンの客層が偏っていると身につくスキルや対応力も偏る可能性があるため、異なる店舗のサロンワークに携われる「スポットワーク」への取り組みも推奨されます。
美容師とサロンのスポットワークに特化したサービス「びすけっとリンク」は無料で登録できるので、スキルと対応力アップを図るために取り組むことを検討してみてはいかがでしょうか。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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