若い世代の減少傾向に加えサロンの施設数は25万件を超え、美容室経営は厳しい状況が続いています。
どのような業種でも経営は容易ではありませんが、サロンを出店するならより一層の綿密な計画と準備、注意が必要です。
この記事ではサロンの出店を計画する美容師に向け、相場や注意点について解説します。
スタッフを確保してから出店計画を進めることが重要!
一人サロンなら個人の売上が出店の目安になりますが、スタッフを雇用する場合は個人の売上に加え、人材の確保が目安になります。
人材の確保がサロン出店の目安になる理由については、以下のとおりです。
求人に対する反応は鈍い
サロンの出店に取り組む前に人材の確保が優先される理由の一つは、求人に対する反応が鈍いからです。
美容業界は慢性的な人材不足に陥っており、改善の兆しも見えません。
サロンの施設数は増えているものの美容学校の入学・卒業者数は停滞しており、離職率も高いことから新卒者や中途採用の確保が難しくなっています。
出店計画を進めながら求人活動に取り組んでも、開店までに充分な人材を確保できる可能性は低く、サロンのキャパシティを活かせないおそれがあります。
切磋琢磨した美容師仲間や信頼関係を構築できた後輩など、サロン運営を共にするスタッフの確保を優先することがサロンの出店計画において重要です。
採用した人材の技術力と接客力がサロン経営における不安材料になる
求人に応募した人材の技術力と接客力が、サロン経営における不安材料になるおそれがあります。
技術チェックや面接時の対応で技術力と接客力を測りますが、美容師仲間やサロンワークを共にしたスタッフに比べて、十分に把握できているとはいえません。
そのため、採用後にサロンワークに支障をきたす可能性があります。
サロンを出店する際の相場
5~6人でサロンワークを回すなら20坪前後の広さが必要になり、地域やこだわりにもよりますが1,000~1,500万円の開業資金が必要とされています。
例えば、坪単価2万円とすると、20坪のサロンを出店するなら家賃は40万円です。
テナントを借りる際は、保証金が必要です。
オフィスなどは家賃6ヶ月分が保証金の相場ですが、サロンを出店する場合は内装工事を行うので家賃10ヶ月分を保証金として納めるケースもあります。
不動産業者にも仲介手数料として家賃1ヶ月分を支払うので、合計11ヶ月分、440万円を納めます。
内装工事は坪当たり40万円と想定して、20坪なので800万円です。
セット面を5台、シャンプー台は3台として、イスと鏡のセットが20万円で合計100万円、リアシャンプー1台30万円で合計90万円になります。
また、下記のような薬剤や美容器具などが必要です。
・カラー剤1本700円×200本で合計14万円
・パーマ液5種+ストレート剤2種を各2セットで3万円
・処理剤やシャンプーなど2万円
・アイロンとコテを各2台で10万円
・加温器15万
・保険が月4,000で年間5万円
ここまでの合計が1,519万円になります。
店舗の内装工事以外に発生する費用も多い
テナントを借りるための費用や内装工事費以外にも、サロンを出店する際には以下の経費が必要です。
・数ヶ月分のランニングコスト
・宣伝費
・求人費
それぞれの費用について解説します。
数ヶ月分のランニングコスト
できれば6ヶ月分、少なくとも3ヶ月分のランニングコストを確保しておきましょう。
ランニングコストはサロンを運営するうえで定期的に必要になる経費を指し、家賃や水道・光熱費、電気代、保険料などがあります。
雇用するなら人件費も必要です。
楽観的にサロン経営を考えず、リスクヘッジのため6ヶ月分程度は売上がなくても運営が可能な資金を用意しておきましょう。
宣伝費
資金に余裕があったり、開店まで時間がなかったりする場合は宣伝媒体を活用しますが、時間があるならSNSやホームページを開設して費用を抑えた宣伝活動もできます。
長いスパンで経営戦略を立てるなら、出店までの経緯や準備、サロンの取り組みなどをSNS上に発信する方がストーリー性もあり、ファン化や見込み顧客の獲得につながる可能性があります。
求人費
スタッフが十分に集まらず開店を迎えた場合は求人活動に取り組みますが、求人媒体によって費用相場が異なるので、それぞれの特徴を把握しましょう。
サロン専門求人サイトは高い反応率がメリットですが、費用は高い傾向にあります。
総合求人サイトは費用を抑えられますが、さまざまな業種の求人情報に埋もれ反応が芳しくない傾向にあります。
普及が進む「スポットワーク」には3つのメリットがあり、求人活動に有用です。
1つ目のメリットは、無料で利用できるサービスがあることです。
サロンと美容師のマッチングに特化したサービス「びすけっとリンク」は、サロンも美容師も無料で利用できます。
2つ目のメリットが、土日祝日や繁忙期に限定して人材を確保できることです。
常勤のスタッフを求めていたり、一から育てたかったりする場合には適していませんが、サロンワークが忙しくなる日時に限定して人材を補強できるので、人件費を抑えられます。
3つ目は、就職を打診できることです。
ブランク明けの美容師がスポットワークに取り組むケースもあり、どのサロンにも所属していないなら就職を打診しても問題ありません。
サロンワークを通じて技術力や人となりが分かっているので、採用後にギャップが発生するリスクも抑えられます。
デメリットとしては、人手が欲しい時に確保できない可能性があることです。
土日祝日や繁忙期は人手を求めるサロンが増えるため、スポットワーカーの取り合いになり、人材を確保できない場合もあります。
SNSやスポットワークを活用すれば出店に関わる費用を抑えられる
内装工事費と保証金が出店費用の大部分を占めていますが、この2つの費用は削減の余地が少ないです。
セット面やシャンプー台などの器具も、無理なコストカットはサロンワークに支障をきたすおそれがあるので推奨できません。
SNSを活用した宣伝活動は、時間はかかりますが費用を抑えられます。
少ないスタッフで開業しスポットワークを導入して土日祝日などの忙しいサロンワークに対応すれば、人件費と求人費を抑えられます。
サロンを出店する際はスタッフの確保を優先し、できる限り費用削減を図った計画を立てましょう。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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