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美容室が業務委託契約を導入するメリット・デメリットを分かりやすく解説!

コラム

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さまざまな業界で働き方に多様性が求められるようになり、美容業界も例外ではありません。

慢性的な人材不足が続く美容業界では、柔軟な働き方への対応や労働環境の改革が人材確保における重要な課題とされています。

この記事では美容室の経営者に向け、契約形態に業務委託を取り入れるメリットやデメリットについて解説します。

 

業務委託契約の美容師と雇用契約の美容師の違いとは?

美容室の契約形態は主に、「雇用契約」「派遣契約」「業務委託契約」の3つです。

「雇用契約」は固定給や固定給+歩合の給与体系で労働者と雇用契約を結びます。

「派遣契約」とは派遣会社に所属する労働者が美容室に派遣される契約形態であり、雇用主が異なるだけでどちらも美容室が「指揮命令権」を持ち、労働者は労働基準法に守られています。

「業務委託契約」は、美容室と個人事業主(美容師)が対等な立場で契約を結び、美容室に「指揮命令権」はなく、労働基準法は適用されません。

雇用契約と派遣契約では、たとえ売上がゼロでも契約時に取り決めた給与を支払いますが、業務委託契約の場合は成果に見合った分しか報酬を支払う必要はありません。

最低保障給のない完全歩合制は、業務委託契約に該当します。

 

美容師と業務委託契約を結ぶメリットとデメリット

美容師と業務委託契約を結ぶメリットとデメリットを、以下に解説します。

 

業務委託契約を結ぶメリット

業務委託契約を結ぶことによって美容室が得られるメリットは3つあり、1つ目は労働基準法が適用されないことです。

労働時間の制限や残業代支払いの義務、ケガや休業に対する補償・負担の義務などがなく、自由度の高い契約を結べます。

また、従業員を解雇する場合には厳しい条件を満たさなければいけませんが、契約の終了期間や条件を定め、それに従えば比較的容易に契約を終了できます。

2つ目のメリットは、保険や税金の手続きが不要な点です。

雇用契約であれば労働者に対して雇用保険や、美容室によっては健康保険の手続きと費用が必要になりますが、業務委託契約では個人事業主として美容師自身が保険の手続きと支払いを行います。

同様に、所得税などの税金関係の手続きや支払いも美容師自身が行うので、雇用契約に比べて保険と税金に関する手間や費用を抑えられます。

3つ目のメリットは、技術指導が必要ない点です。

スキルアップは個人事業主である美容師本人が費用を負担して取り組むものであり、美容室側が負担したり促したりする必要はありません。

雇用契約も取り入れている場合は、スタッフのスキルアップに注力できます。

 

業務委託契約を結ぶデメリット

業務委託契約を結ぶデメリットとして挙げられるのが「顧客の流出」と「サロンワークの乱れ」です。

顧客の個人情報を無断で閲覧したり、独立や他店舗と業務委託契約を結び直す際に顧客を引き抜いたりする行為は、契約時の取り決めで禁止できます。

とはいえ、顧客に利用するサロンを選ぶ権利がある以上、インターネットやSNSなどで調べて美容師を追いかける可能性があります。

また、業務委託契約を結んだ美容師に対して指揮命令権はありません。

そのため、自由にサロンワークに当たることができ、和を乱すおそれもあります。

 

業務委託契約を結ぶ際の2つの注意点

業務委託契約を結ぶ際に、美容室側が注意しておくべき点が2つあります。

注意点の「契約書」と「労働法」についての詳細は、以下のとおりです。

 

契約書が必要

入客の条件や歩合率、契約期間、禁止事項などを細かく定めた契約書を作成しなければいけませんが、「下請法」と「独占禁止法」に抵触しないように注意しましょう。

どちらも立場の弱い者が一方的に不利益を被る契約を防止するための法律です。

美容室側が有利で、美容師が一方的に不利益を被る契約を定めたり、強要したりすると独占禁止法における「優越的地位の濫用」に該当します。

違法行為であり、場合によっては損害賠償問題に発展するおそれもあります。

トラブルにつながらないように契約書を作成しなければいけませんが、下請法と独占禁止法に関する理解を深めておくことが重要です。

 

契約内容によっては労働法が適用されるケースもある

業務委託でも、契約内容によっては雇用契約に該当するとみなされ、労働法が適用されるケースがあります。

労働法とは「労働契約法」や「労働基準法」などの、労働者や労働に関する契約の公平性を保つための法律の総称です。

本来、業務委託契約を結ぶ美容師に対して美容室に指揮命令権はありませんが、契約内容に細かい指示を定めると、実質的には「雇用契約」に該当すると判断される場合があります。

労働基準法を遵守する必要があり、残業代などの負担も発生します。

違反すれば労働基準監督署の立ち入り調査に加え、懲役や罰金を科されるおそれがあるので注意しましょう。

 

「単発の派遣」という雇用方法も選択肢の一つ

働き方の多様性に対応するために業務委託契約をサロン経営に取り入れる選択もありますが、「単発の派遣」という雇用方法も選択肢の1つに入ります。

単発の派遣のような働き方である「スポットワーク」は、土日祝日や繁忙期のみ人手を確保でき、人件費においてコストカットが見込めます。

系列店やつながりのある店舗にヘルプに行くことが珍しくない美容業界でも普及が進み、慢性的な人材不足の解消に期待されている新しい働き方です。

美容室と美容師のマッチングに特化した「びすけっとリンク」のようなサービスも提供されており、無料で利用できるコスト面のメリットや汎用性のある活用方法が注目されています。

 

業務委託契約を結ぶ際にはメリットとデメリット、労働法を理解しておく

業務委託契約を結ぶことで、美容室と美容師、双方にとって自由度の高い働き方が可能ですが、デメリットもあるのでメリットとのバランスを考慮して導入を検討する必要があります。

また、契約内容においても美容室側が一方的に有利な条件を定めれば独占禁止法や下請法に抵触するおそれもあるので注意しましょう。

美容業界では深刻な人材不足が続いており、業務委託契約をはじめ、普及が進むスポットワークなど、時代に合わせた働き方を取り入れる経営戦略がサロンの成長・維持に不可欠となっています。

 

ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)

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