「ヘッドハンティング」と聞くと、企業が有能なビジネスパーソンを確保するための仰々しい取り組みに感じます。
しかし、美容室においても実績のあるスタイリストを勧誘することは、珍しい話ではありません。
従来の引き抜きのような形以外にも、求人媒体を活用したり、スカウト会社に依頼したりする方法も普及し、ヘッドハンティングへの取り組み方は選択肢が広がっています。
この記事では、3つのヘッドハンティング方法の特徴や、ますます厳しい状況に陥るおそれのある人材確保への対策について解説します。
美容室にとってヘッドハンティングは普通
美容業界は独立やフリーランスなどの多様な働き方があり、終身雇用に対する意識も低い傾向にあります。
「スキルを磨くため」や「待遇の良い環境を求めて」といった理由で美容室を移ることも珍しくありません。
このような実態を背景に、勤めているサロンより良い待遇や労働環境を提示し、ヘッドハンティングも実施されてきました。
従来からある美容師同士のつながりを活用した「引き抜き」をはじめ、後述する求人媒体を利用した方法や、スカウトを請け負う企業に依頼する手段も普及し、ヘッドハンティングへの取り組みは多様性を増しています。
選択肢が増えたヘッドハンティングの方法
ヘッドハンティングの方法は、主に下記の3つです。
- 従来からある引き抜き
- オファー型の求人媒体
- スカウト会社
それぞれの概要やメリット・デメリットを、以下に解説します。
【ヘッドハンティング方法①】従来からある引き抜き
美容師同士のつながりを活用した従来からある方法であり、コストがかからない点がメリットです。
SNSが普及したため人脈を広げやすくなり、コンタクトを取るのも容易になりました。
一方、個人間でヘッドハンティングの話を進めるため、契約内容が曖昧になりがちでトラブルに発展するケースもあります。
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【ヘッドハンティング方法②】オファー型の求人媒体
求人媒体は登録者が就職希望先を選択しますが、登録者の情報を見て企業側が声をかけるのが「オファー型」の求人媒体です。
オファー型求人媒体に登録するスタイリストは求職活動に費やす手間や時間を抑えられ、美容室側にとってはつながりのなかった有能な人材を確保するチャンスが得られる点がメリットです。
求人サイトに掲載する期間や時期によって費用は異なり、採用が決まれば成功報酬も発生します。
【ヘッドハンティング方法③】スカウト会社
サロンを移る日程や待遇など、ヘッドハンティングの際にサロンオーナーが行う交渉を代行するのがスカウト会社です。
ヘッドハンティングにかかる時間や手間を抑えられるメリットはありますが、都市部で普及しつつあるのが現状であり、美容室を構える地域には対応していないケースもあります。
ますます厳しい状況に陥る人材確保への取り組み
2021(令和3)年度時点で、全国の美容室の施設数は26万4,223軒です。
日本の人口が減少傾向にある中でも美容室の施設数は増え続けていますが、2022(令和4)年度に美容師免許を登録したのは1万7,876人です。
もちろんすべての美容室が求人活動に取り組んでいるわけではありませんが、約15軒に1人しか新卒の美容師を確保できない計算になります。
離職率が高い業界でもあるため、今後、ますます人材確保は厳しい状況に陥ることが予想されます。
美容室の経営を成長・維持するには、以下の2つの対策が有用です。
参照データ 厚生労働省 「衛生行政報告例の概要」
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター 「新規免許登録件数」
「働き続けたい」と思われるサロンづくり
「働き続けたい」と思われるためには、「辞めたい」と思われる原因を解消する必要があります。
「辞めたい」につながる原因には、下記の3つが挙げられます。
- 労働環境
- 給与
- 人間関係
立ちっぱなしの長時間労働が常態化しているのが美容業界です。
立ちっぱなしは仕方がない業界だとしても、長時間労働に関しては改善が求められます。
コロナ禍以降、さまざまな業界で働き方の改革が進んでおり、美容業界も例外ではありません。
リモートワークは導入できませんが、営業日や営業時間の見直し、休憩時間の取り方などは検討の余地があるでしょう。
収入が低いことも離職率を高めている原因の1つです。
とはいえ、経営に余力がある美容室ばかりではないので、給与の設定を高くするのは容易ではありません。
従業員が副業に取り組むことを容認する一般企業が増えている状況を鑑みて、美容室でも副業を認めたり、取り組みやすいように環境を整えたりすることが当面の間の解決策として挙げられます。
技術職であるため、美容師は上下関係がはっきりしがちです。
しかし、過ぎた上下関係の厳しさは人間関係の悪化につながるため、場合によっては改善が求められるでしょう。
時代に合った求人活動
オンライン上の求人媒体を活用するなど、時代に合った求人活動が人材確保には不可欠です。
定番である求人サイトや転職エージェントの登録はもちろん、ヘッドハンティングを兼ね備えた求人活動として「スポットバイト」も選択肢に入るでしょう。
スポットバイトは日時を指定した単発の求人であり、土日祝日や繁忙期などのサロンワークが忙しくなるタイミングに絞って利用すれば人件費を抑えられるメリットもあります。
サロンに勤めながら副業として取り組む美容師もいますが、一度美容業界から離れた美容師が勘を取り戻すために取り組んだり、他業種に就きながらダブルワーカーとして活動する人がいたりするなど、人材確保に有用な求人媒体です。
スポットバイトに取り組む美容師のスキルや知識、接客力、人となりなどをサロンワークを通じて確認でき、有能な人材をスカウトするチャンスも得られます。
また、求人サイトや転職エージェントを利用する際は費用が発生しますが、美容師と美容室のスポットバイトに特化した「びすけっとリンク」のような無料で利用できるサービスが提供されているため、求人活動にかかる費用を抑えられる点もメリットです。
美容師スポットワークで他のサロンを見てみませんか？
美容室経営者や管理職になると他サロンの現場を肌で感じる機会は非常に少なくなります。
これはある意味普通のことですが、新しい考え方や手法を取り入れにくくなり経営者が成長しにくいのが現状です。
講習会などの机上の論理だけではなく、現場の空気を感じる方法としてご紹介したいのが美容師のスポットワークです。
美容師スポットワークなら他店の教育内容を垣間見ることができるのではないでしょうか。
美容師スポットワーク・スポットバイトとは？
美容師スポットワーク、スポットバイトは日にちと時間が指定された仕事を単発で行う働き方です。
隙間時間を有効活用しながら働け、副業として美容師をすることや、違う環境で働くことを経験しやすいといった特徴があります。
また、様々なサロンでの業務経験ができるため、多くの先輩美容師や薬剤に触れる機会が格段に増え美容師としてのスキル向上にも一役買います。
「スポットワーク」で最大限にスキルを磨くための3つのポイント
現役美容師の副業にも復職前の肩慣らしにも適した美容師のスポットワーク・スポットバイトは、びすけっとリンクで簡単に検索できます。
ヘッドハンティングと時代に合った求人媒体を組み合わせて人手不足を解消
美容室が行うヘッドハンティングには「従来からある引き抜き」「オファー型の求人媒体」「スカウト会社」の3つの方法があり、メリット・デメリットはもちろん、コスト面や対応する地域も異なります。
厳しい状況が続く美容業界の人材不足に対応するため、時代に合った求人媒体の活用や美容室に適したヘッドハンティング方法への取り組みが求められています。
ライター：ティム（美容師歴20年、現在はフリーランス）
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