働き方に多様性が求められるようになり、美容師にもサロンワーク以外に活躍できる場が増えています。
その1つが訪問美容です。
この記事では、美容師が副業として訪問美容に取り組むメリットや資格について解説します。
そもそも訪問美容師とは?
訪問美容とは、老人ホームや介護施設、自宅などを訪ねて施術することです。
人口減少と少子高齢化社会が課題となる日本において、美容師が新たに活躍できる場として注目されています。
厚生労働省が公表する「人口動態統計速報(令和4年12月分)」によると、2022(令和4)年の出生数は799,728人となっており過去最少です。
死亡者数は1,582,033人なので、2022年内に人口が78,2305人減っています。
サロンは増加傾向ですが、来店の可能性のある人口は減っているため、対策を講じないままでは先細りになるか、淘汰されてしまうでしょう。
そこで注目されるようになったのが介護の場です。
これまでもボランティアとして訪問美容に取り組むサロンはありましたが、十分な訪問回数とはいえません。
福祉施設自体が増えていることを背景に、事業として訪問美容に取り組むケースも増加傾向です。
介護を受ける人に快適な生活を提供しつつ、美容市場の拡大が期待されています。
参考元:厚生労働省 「人口動態統計速報(令和4年12月分)」
美容師が副業として訪問美容に取り組むメリット
訪問美容のメリットは「収入源」と「選択肢」を増やせることです。
それぞれについて、以下に解説します。
メリット①収入源を増やせる
美容師が訪問美容に取り組むことで、収入源を増やせます。
サロンに勤めながら副業として訪問美容に取り組めば単純に収入と収入源が増えるので、仮にサロンが経営難に陥ったとしても収入源が断たれるリスクを抑えられるでしょう。
メリット②選択肢が増える
店を構えたり、フリーランスに転向したりする以外にも訪問美容師としての独立や、これらを組み合わせた事業を展開するなど、将来的に選べる選択肢が増えるメリットがあります。
訪問美容師に資格は必要?
訪問美容には以下の資格があります。
美容師資格は必須
訪問美容に取り組むなら、美容師資格は必須です。
また、カットやカラー、パーマといった一通りのスキルを修得していなければならないので、スタイリストまでは昇格している必要があります。
加えて、寝たきりや長時間座っていることが負担になる人に施術するため、スピードが求められます。
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介護系の資格もあると訪問美容に取り組みやすい
美容師資格があれば訪問美容師として活動できますが、サロンワークとは違い体が不自由な人に施術するため、介護系の資格があると顧客の安心感につながるでしょう。
介護系の資格には、「介護職員初任者研修資格」や「介護福祉士実務者研修資格」があります。
また、訪問美容に特化した資格も有用です。
「一般社団法人日本訪問福祉理美容協会」が認定する資格は1日の講習で取得でき、福祉や介護、医療などの基礎知識をはじめ、施術時の注意点や高齢者とのコミュニケーションについて学べます。
「認証NPO法人日本理美容福祉協会」も認定資格を発行しており、講義と実技で2日間の講習を受けます。
訪問美容師の始め方
訪問美容の始め方は、自分で開業するか、訪問美容に取り組む企業に就職するかの2択です。
それぞれの特徴について解説します。
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自分で開業
副業であっても個人で開業するなら、2つの届出が必要です。
美容師は保健所の審査に通った施設でなければ営業できません。
体の不自由な人のための例外的な措置として訪問美容は認められていますが、届出がない場合は法律違反となり、美容師資格の取り消しや業務停止処分になります。
税務署に開業届と、保健所への出張業務開始届が必要です。
訪問美容師として活動するには移動式シャンプー台やセット面、薬剤一式、運搬用の車を用意しなければいけません。
しかし、店舗を構えるほどではありませんが高額な費用がかかるため、資金調達が難しいようならカット専門から始めて、徐々に器材を揃える方法もあります。
軌道に乗ったら訪問美容専門に転向する選択肢もありますが、サロンワークを忘れない対策も必要です。
美容師のスポットワークと併用すれば、サロンワークの感覚を忘れずスキルアップも見込め、収入も安定します。
訪問美容に取り組む企業に就職
訪問美容に取り組んでいる企業に就職する際には、届出は必要ありません。
社内研修などが充実している企業であれば、スムーズに訪問美容の技術を修得できます。
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単発でのお仕事なので、比較的時給が高いこともメリットの一つです。
お店が良ければそのまま就職も可能ですし、美容師同士の情報交換にも役立ちます。
選択肢の1つとして訪問美容は有用
働く世代が減り、超高齢化が進む日本の美容業界では、訪問美容は需要が見込まれる市場です。
サロン運営やフリーランスの活動と組み合わせるなど、訪問美容は働き方や事業の選択肢を増やします。
他のサロンや美容師との差別化を図るために、訪問美容を検討してみてはいかがでしょうか。
ライター:ティム(美容師歴20年、現在はフリーランス)
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