美容室経営を圧迫する物価高騰!悪循環に陥る失策を回避するための秘策
物価高騰で経営が圧迫されてきた。。
スタッフの待遇にも関わるから頭痛い
経費がかかるなら値上げすれば良いのかな?
値上げされていない物を探す方が難しいほど、さまざまな分野に物価高騰が及び、消費者とサービスを提供する側、双方が困難な状況に陥っています。
水道光熱費をはじめ、材料、軽油などの値上げにより、美容室経営も圧迫されています。
対策として考えられるのが料金の改定ですが、顧客離れの懸念もあるので決断は容易ではありません。
しかし、サービスの質に比べて対価が低いと、悪循環に陥るおそれもあります。
この記事では、悪循環を回避して美容室経営を守り、メニュー料金を改定する方法について解説します。
ライター:ティム
美容師歴20年、現在はフリーランス美容師。
サロン勤務の傍ら美容業界の昨今について執筆活動をしています。
2024年以降も物価高騰が続く見通し
2024年以降も、物価高騰は続く見通しです。
円安が続き、エネルギー資源の大半を輸入に頼る日本では、ガスや電気はもちろん、モノを作ったり、運んだりする際に必要なコストも高騰しています。
また、原油やガス自体の価格高騰も重なり、状況が好転する兆しは見えていません。
美容室経営の負のスパイラル
物価高騰に応じて、美容室のメニュー料金の値上げを検討するのは自然な流れです。
むしろ、値上げをためらうと、下記のような流れで美容室経営は悪循環に陥るおそれもあります。
利益率の低下
サービスに比べて対価が低ければ、利益率も低下します。 料金を維持すれば売上総利益は守られますが、物価高騰により経費は高くなっているので経常利益は下がるからです。
利益率低下による待遇の悪化
利益率が下がると、スタッフの待遇面が悪化するおそれもあります。
美容室が得られる利益が下がれば、スタッフに支払う報酬も下げざるを得ません。
もしくは、下がった利益を取り返すために、営業時間を延長する場合もあるでしょう。
人手不足に陥る
待遇面と労働環境が悪化すると、離職率が上がります。
物価高騰の前から、美容業界の人手不足は進んでおり、待遇面と労働環境が悪化すればさらに深刻化するおそれがあるでしょう。
売上が下がってさらに安売りに走る
人手不足と売上の低下により経営が追い詰められ、値下げで集客を図り、利益の回復を目指すケースもあります。
しかし、さらなる利益率の低下を引き起こし悪循環に陥る可能性が高く、美容室経営に致命的なダメージを与えるおそれがあります。
利益率の低下は美容室だけではなく、スタッフにも負担がかかります。
メニューの値上げに顧客が納得できる理由を添える
メニューの値上げは美容室経営を維持するために必要ですが、物価高騰に苦しんでいるのは顧客も同じです。
値上げは仕方ないと思いつつも、簡単には納得できない心境も理解できます。
そのため、メニューの値上げには「納得できる理由」を添えることが重要です。
納得できる値上げの理由には、以下の例が挙げられます。
サロンコンセプトを守るため
「高いデザイン性」や「毛髪理論に基づくダメージを抑えた施術」など、美容室が掲げるサロンコンセプトを守るための値上げであることを顧客に伝えましょう。
サロンコンセプトを明確に打ち出している美容室を利用する顧客は、そのコンセプトに魅力を感じています。
そのサロンコンセプトを守り、美容室経営を維持するための値上げであれば、顧客の納得を得られる可能性が高くなります。
サービスのクオリティを維持するため
取り扱っている薬剤は、数あるメーカーのラインナップの中から選んでいます。
選んだ理由があり、デザインを作り上げるうえで必要不可欠なものです。
具体的な仕入れ値まで教える必要はありませんが、薬剤にまで値上げが及んでいることを伝え、サービスのクオリティを維持するために必要であることを伝えましょう。
値上げするメニューを絞る
すべてのメニューを値上げするのではなく、値上げするメニューを絞るのも選択肢の一つです。
例えば、カット料金は技術料が大半なので据え置きにし、値上げは薬剤を使うメニューに限定する案などがあります。
パーマよりカラーの方が材料比率が高い傾向にあるので、メニューによって値上げ幅を調節する選択肢もあるでしょう。
適切な値上げは人材確保にもつながる
適切なメニューの値上げは、美容室経営や労働環境を維持するために必要であり、整った労働環境は人材確保にもつながります。
長く人手不足が続く美容業界では人材確保に向け、待遇面の改善や労働環境の整備が求められています。
値上げを避けても利益率の低下からは逃れられず、その影響はスタッフの待遇面や労働環境にまで及ぶでしょう。
経営が不健全に陥ってからでは、求職者を惹きつける条件を提示できません。
美容室の経営が健全であるために、顧客が納得できる理由を添えて、メニュー料金を改定しましょう。
多様化する求人媒体にも対応しなければ人材確保は難しい
整った労働環境や待遇面は求人活動の際に魅力的な武器になりますが、それだけでは不十分です。
オンライン上の求人媒体は多様化しており、美容室が人材に求める条件や地域に適した媒体を臨機応変に選ばなければ人材を確保できません。
サロン専門求人サイトや転職エージェントはもちろん、雇用形態として普及が進む派遣美容師や、指定した日時にサロンワークに当たる「スポットワーク」などの新しい働き方も導入する必要があります。
新卒やサロンを移る美容師だけでは人手不足の解消は難しく、局面打開には「休眠美容師」がカギになるといわれています。 美容業界から離れた人材を指し、派遣契約や、スポットワークへの取り組みなど、従来とは異なる働き方が復帰のきっかけとして有用です。
納得できる値上げの理由を用意すれば、顧客離れは抑えられる
物価高騰から美容室を守るために、値上げは必要です。
ただし、値上げに苦しんでいるのは顧客も同じなので、納得できるだけの理由を用意しましょう。
適切な料金の設定はスタッフを守ることにもつながり、人材を確保するうえでも重要です。
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