美容師が出張で施術すると違法?正しい訪問美容をわかりやすく解説

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美容師が顧客の家を訪ねたり、美容師の家に招いたりして施術するのは美容師法上、許されているのでしょうか?

「出張シェフサービス」や「家事代行サービス」が普及していることから、出張美容師サービスも事業として成り立ちそうではあります。

この記事では、出張美容師の美容師法上の是非や、「訪問美容サービス」について解説します。

ライター:ティム
美容師歴20年、現在はフリーランス美容師。
サロン勤務の傍ら美容業界の昨今について執筆活動をしています。

目次

サロンに来店できる顧客への出張サービスは違法

美容師は、美容師法が定める基準を満たした施設でしか施術してはいけません。

床の素材や消毒設備、証明の明るさなどの基準をクリアした「美容所」でのみ、美容師として施術し、対価としてお金を受け取ることが許されています。

そのため、基本的にはサロンに来店できる顧客への出張サービスは、美容師法違反です。

ちなみに、お母さんが子どもの髪を切るのは商売ではないので問題ありません。

上記で触れた「出張シェフサービス」や「家事代行サービス」には、特別な届け出はもちろん、調理師免許すら必要ないのに大きな違いです。

刃物を持って顧客に触れ、医薬部外品の薬剤を用いることなどが、厳しく規制が定められている所以と推察されます。

※ IDを指定してください。

「訪問美容」が認められる条件

来店できる顧客への出張美容サービスは美容師法違反ですが、「来店できない理由」がある顧客へは出張サービスの提供が許されています。

  • 病気や怪我などでサロンへ通えない場合
  • 結婚式などに参列する人に、式の直前に施術する場合
  • 山間部などの美容所がない地域に住む人に施術する場合
  • 介護施設や老人ホームなどの福祉施設の入所者に施術する場合
  • 演劇に出演する人に対して、出演の直前に施術する場合

上記が、サロンへ通えない理由として認められている事例です。

テレビや雑誌の撮影現場などでヘアメイクが美容の業として認められているのは、この所以によるものです。

理由もなく出張美容サービスを提供するのは美容師法違反ですが、介護などの施設や介護を受ける人の自宅を訪ねて施術するのは許されています。

訪問美容サービスは需要が見込まれる事業

日本の人口減少は顕著です。

2020年には65歳以上の人口が28.6%、つまり日本人の4人に1人が65歳以上になりました。

出生率は1.33まで落ち込み、上向きになる兆しは見えていません。

今後ますます高齢化社会に進むことが避けられない中、美容の事業展開として期待されているのが「訪問美容」です。

これまでは社会貢献活動の一環として、地域の福祉施設に訪問美容サービスを提供するケースがありましたが、需要の高まりが予想されることから事業として展開する動きが見られます。

参照データ:厚生労働省 「日本の人口の推移

美容師の働き方としても訪問美容は注目されている

サロンの事業展開だけではなく、美容師の働き方としても訪問美容サービスは注目されています。

訪問美容師になるために、美容師以外の特別な資格は必要ありません。

ただし、普段のサロンワークとは大きく異なることから、介護資格を取得しておくと顧客は安心して施術を任せられます。

一般社団法人「日本訪問福祉理美容協会」が福祉美容に特化した講習や資格制度を提供しているので、訪問美容師を目指す場合は受講や資格取得が推奨されます。

また、地域によっては自治体への届け出は不要です。

自治体によって届け出の要不要が異なるので、訪問美容師を目指す際には地域の保健所に問い合わせてみましょう。

しかし、税務署への開業届は必須です。

個人で訪問美容に取り組む場合は、個人事業主として税務署への届け出が必要になります。

届け出を未提出のまま事業を始めると、罰金や資格停止などの罰則が科せられるおそれがあります。

訪問美容師を目指す際の注意点は、以下のとおりです。

参考資料:一般社団法人 日本訪問福祉理美容協会

副業として訪問美容に取り組み、リスクを抑える

まずは副業として、サロンワークと並行しながら訪問美容に取り組むことが推奨されます。

なぜなら、本格的に事業を始めるなら初期費用が高くなり、リスクも高くなるからです。

カットだけを請け負うのであれば、シザーやコームなどは自前なので、鏡とクロス、スプレーヤー、カットした髪を片付けるための掃除道具を用意すれば訪問美容サービスを開始できます。

この場合の初期費用は数万円程度になるでしょう。

しかし、カラーやパーマを請け負うなら、移動式のシャンプー台が必要です。

運搬用の車も必要になるので、初期費用が高くなります。

事業として本格的に取り組むなら、カラーやパーマを含めた総合的な美容サービスが求められますが、高い初期費用は経営リスクの観点から推奨されません。

まずは副業として、初期投資を抑えられるカットのみの訪問美容サービスに取り組み、事業としての将来性が明るくなってから設備を整えるとリスクヘッジを図れます。

サロンワークを忘れないための対策も重要

訪問福祉サービスの運用を始めた後は、サロンワークを忘れないための取り組みも欠かせません。

なぜなら、サロンワークと訪問美容は提供するサービスが異なるため、訪問美容に専念するとサロンワークに求められるスキルや勘が鈍る可能性があるからです。

将来の選択肢を狭めてしまうおそれがあるので、サロンワークを忘れないための対策が必要になります。

サロンワークを忘れないための対策として有用なのが、スポットワークです

単発の派遣のような働き方であるスポットワークは美容業界でも普及しており、人手不足解消のカギとして注目されています。

訪問福祉サービスを提供しつつ、副業としてスポットワークに取り組むことで、サロンワークの勘を保つだけではなく、見込み顧客の獲得も期待できるでしょう。

スポットワークでつながったサロンから、訪問美容を必要とする顧客の紹介が期待できます。

通常の美容業同士であれば顧客の紹介はあり得ませんが、訪問美容は別事業であり市場も異なるので協力関係が築けるでしょう。

訪問美容師」は需要が高く、将来性も明るい

サロンに来店できる顧客への出張美容サービスは美容師法違反になるおそれがありますが、介護などが必要な顧客への「訪問美容サービス」は問題なく、人口減少が顕著な日本では高い需要が見込まれます。

リスクを抑えるために副業として訪問美容サービスに取り組み、事業として本格的に運用を始めた後はサロンワークを忘れないためにスポットワークとの併用が推奨されます。

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講習会などの机上の論理だけではなく、現場の空気を感じる方法としてご紹介したいのが美容師のスポットワークです。

美容師スポットワーク、スポットバイトは日にちと時間が指定された仕事を単発で行う働き方です。

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